月間ニュースレター
2015年12月号 ストレスチェックの義務化とは?
またまた国の制度が変わりました
ストレスチェックの義務化とは?
こんにちは。2015年12月、今年も残す所ひと月となりました。
忘年会で飲みすぎて体調を崩したり、急な冷え込みでお風邪などひいていませんか? 私は基本のうがいと手洗いで元気に過ごせています。
さて、今年最後のコラムですが、国の制度についてお話します。TV、新聞でニュースになっています「ストレスチェックの義務化」についてです。
今年の12月から、職場でのメンタルヘルス対策として労働者の心理的な負担の程度を把握する検査(ストレスチェック)を1年に1回以上行うことが法律で義務化されました。なぜ、職場で健康診断のように、ストレスチェックを行わなくてはならないのか?
簡単に言うと、以下の4つの理由からです。
1)自殺が増えたから
2)うつ病など精神疾患が増えたから
3)ブラック企業で話題の長時間労働が問題化されているから
4)心の健康に取り組む企業が増えないから
2013年の自殺者数は27,283人いるそうです。驚くことに、働き盛り世代の死因の1位が自殺という現状があります。(警察庁「自殺統計」、厚生労働省「人口動態統計」より)。また仕事上の労災としてうつ病などの精神疾患が増えています。パワーハラスメントや長時間労働により心労でうつ病になったということが認められるようになり、企業側が賠償責任を負うことになってきました。
加えて、メンタルヘルス不調には過重労働の要因も考えられています。海外と比べて日本人は働きすぎと言われています。またブラック企業で行われているサービス残業なども問題になっています。これからは労働の「質」と「量」のバランスを考える時代になっています。
大企業を中心に政府の指針に応じて、独自にメンタルヘルスケアに取り組んできた企業は増えてはいます。しかし日本全体で見ると取り組み自体はまだまだ遅れています。国を挙げて総合的なメンタルヘルスの促進が必要となっているため、法律によってストレスチェックというもう一つの健康診断が義務化されたのです。
このおかげで、従業員のメンタルヘルスが不調になる前に従業員のストレスに気づき、職場環境の改善につながるようになるのです。
従業員50人以上の企業は
1年に1回ストレスチェックを行う
正式名称で言うと、改正労働安全衛生法の施行により、従業員50人以上の企業についてはメンタル対策の充実と強化を目的として、年に一回従業員に対してストレスチェックを行う事が事業者(企業)に義務化されます。従業員50人未満の企業は当面の間「努力義務」となるそうです。
本制度では、ストレスチェックによって高ストレス状態にあると判定された場合や、希望者には医師による面接指導を実施すること、また必要な場合は就業上の措置を講じることなども義務づけられています。つまり企業側はストレスを抱えている従業員に対して、健康上の対策も行わなくてはならないのです。具体的に言うと、医師の意見を聴いた上で、必要に応じて作業の転換、労働時間の短縮、その他の適切な就業上の措置を講じことになっているのです。
経営者の方は初めての制度だけに準備が大変ですが、従業員の方が心身共に健康に働ける環境を提供することができるので、将来的に会社が順調に成長できることになります。
ストレスチェックの流れ
【1段階】
従業員の心理的な負担(ストレス)の程度を把握するための、医師または保健師による検査(ストレスチェック)を受ける機会を希望する労働者に提供する
↓
【2段階】
事業者は、(問題ありとの)検査結果を通知された従業員の希望に応じて医師による面接指導を実施する
↓
【3段階】
結果に応じて、医師の意見を聞いて従業員の作業の転換、労働時間の短縮、その他適切な就業上の措置を講じる
ストレスチェックは
従業員の自由だが…
企業側がストレスチェックを行うことは義務化されたとはいえ、従業員全員がストレスチェックを受ける必要はないそうです。希望者に対応するというのが基本なようです。これは制度決定する際に論点になったことで、当初は従業員全員が受ける完全義務化の予定でした。しかし、心という非常に繊細な問題を取り扱うため準備に時間がかかることと、周知されていない時期尚早ということで義務化の条文は外されました。今後は様子を見ながら制度改革も行われていくようです。当面は従業員の希望者が受けることができる制度となっています。
50人未満の企業には
ストレスチェックで助成金が出る
では50人以下の企業はストレスチェックが必要ないかと言うと、決してそんなことはありません。従業員の心身の健康を維持するために必要な制度です。50人以下の企業に対しては国から助成金が出ますので、この機会に検討してみては良いかもしれません。
条件としては事業場の所在地が同じ都道府県である、複数の従業員数50人未満の事業場が、合同でストレスチェックを実施し、また合同で選任した産業医からストレスチェック後の面接指導等の産業医活動の提供を受けた場合に、各事業主が費用の助成を受けられることになっています。助成金の支給申請をする前に、小規模事業場の集団を形成し、支給要件を満たしているかの確認を受けるため、あらかじめ労働者健康福祉機構への届出が必要になります。
助成金額
助成金を受けるための要件
※届出前に、次の5つの要件を全て満たしていることを必ず確認してください。
①常時使用する従業員数が50人未満であり、同一の都道府県内にある複数(2から10まで)の小規模事業場を含む事業場で集団を構成していること。
②集団を構成する小規模事業場の事業者が産業医を合同で選任し、ストレスチェックに係る産業医活動の全部又は一部を行わせること。
③ストレスチェックの実施者及び実施時期が決まっていること。
④集団を構成する全ての小規模事業場において、ストレスチェック及び面接指導を行う予定であること。
⑤集団を構成する小規模事業場の代表者と②の産業医(合同選任産業医)が同一者でないこと。
ストレスチェックのご相談は
ライフラインの専門スタッフまで
今回紹介しましたストレスチェックの制度ですが、マイナンバー制度と同様にまだまだ始まったばかりで情報が行き届いておりません。
ライフラインにはFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持つスタッフが大勢いますので、保険だけでなく今回のストレスチェック制度や税務について日々勉強しております。さらに保険会社から本制度に関する様々なサポートサービスも準備しております。人事・総務を担当するから経営者の方のために幅広く情報提供を行っておりますので、いつでもご相談ください。
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